| 昭和49年9月6日付
生まれて一番初めの呼吸をするとき 「一番初めの呼吸をするときは?」と先生に聞いたら「ソリャア、オギャーと声をあげたときから始まるのですよ」と言われる。 どんな具合に始まるのか、ヤタラに見たくなって、そこを一つ特別に見聞させていただくことになった。 まず、こっちも白い手術着を着せられる。ドウモ着なれぬものは勝手が悪く、おちつかぬことになった。婦長さんにナイナイで話しかける「私は生まれてくる途中の景色はナントカご免こうむりたく、生まれた赤ちゃんの顔とオギャーと始まるところを拝みたいので、よろしくよろしく」とお願いする。 さて、生まれたときは青白い顔です。目をつむっていますナァ。それにむずかしい顔です。緊張してネ・・・。 写真は「生まれて三秒まだ呼吸していない一瞬の瞑想(めいそう)」です。次の瞬間呼吸をしてうぶ声をあげると、それまでの生白い膚の色がパッと桜色になり、文字通りの赤チャン誕生となる。 それにしても、この写真の顔には気迫がこもっていると思いませんか? A「どこかで見る顔ヤナ!!」 B「街で会う顔ヤナ!!」 C「奈良の仏さんに、よう似てる・・・広目天の苦味走った顔ヤナ」 B「アレハ細目をあけておられる・・・」 C「感じが似てる・・・」 A「エエ顔ヤナ!!」 * * * * * * * * * * * * * * 昔、従妹のお産を隣の部屋で聞かされるハメになって、逃げ出したことがある。そのときは段々痛みが激しくなって「もうやめるウー」とうなり出したのである。お産の途中で産むことを中止すると言うほど苦しかったのであろう。 それが無事に生まれて、出産の祝いに行ったとき、その本人はごきげんです。 「生まれてしまったあとは身が軽くなって、トテモ良い気持ちで・・・ナントモ口では言われへん、ソレハソレハよい気持ち!!」と聞かされたのである。 こちらは「ソレハソレハ誠に結構なことでござりました」と引きさがることになった。メデタシ、メデタシ。 (写真家・ハナヤ勘兵衛) |
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