昭和49年9月31日付 

かたち(頭と肩)と噴水塔?

A「スマートなかたちヤ。頭囲34センチ、肩囲35センチ、胸囲32センチ」

C「ウワー頭と肩と変わらんナー」

B「身長50センチか、大したもんヤ」

C「オヒップは?」

B「アホカ!!はからんでもエエのヤ」

生まれてすぐお湯に入り、洗ってもらって一息入れる。赤ちゃんはさすがにホットした、なごやかな顔になる。

それから看護婦のお姉さんに体重も量ってもらってカルテに記入される。

この写真は左手で赤ちゃんをささえ、右手で背中を洗っているところ、お湯は夏の行水のときのように底の方に少し入れてあるので、こんなかたちのところを写せたのである。

普通はお湯がタップリ入った深い中へつけるために、このかたちは写せないので珍しい写真になった。後日、その若い看護婦さんにお礼を言うと、はずかしそうに赤くなっておられる。

どうやらこのオッサンがカメラを持って目をみはっているので、若い看護婦さんがアガッテしまったと言われる。もし深いお湯の中で手をすべらせて赤ちゃんを落としては・・・心配なので、タライで行水する要領でお湯を少なくし、安全第一をはかったと言われる。

私は大いに感動したが、その反面赤ちゃんにチョット悪かったナと思った。


噴水塔?

A「噴水塔ヤナ」

C「チョコンとついとるナ」

B「生まれるとすぐ、チョロチョロと噴水が出ることもある・・・」

A「あのときは、見ていてこちらがあわてたナ・・・」

B「噴水の高さ2センチ、透明な美しいお水やった」

C「うまく出るもんヤナ・・・」

A「サー後輩、元気でシッカリ、タノミマッセ!!

さて、赤ちゃんの顔は立派にできている。飲みものの入り口と出口は完成品であり、入り口と出口がチャンとつながっているところはお見事なことである。全部一通りポンポン(お腹)の中で出来上がっていることを、今さらに感心する。

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さて、今日は五つ生まれる、今日は三つと知らせてもらって出かけるので、段々と様子がわかってくる。

婦長さんが「色々でっせ」と言われるので、どう色々であるかと問いつめると「見ているとわかる」と笑われたが、なるほど色々であった。小振りなお母さんからは小さい赤ちゃん、ビール樽(だる)のような雄大なお母さんからは大きい赤ちゃんが生まれてくる。チャンとそれで寸法通り勘定があっているのである。

も一度感心し直すことになった。

(写真家・ハナヤ勘兵衛)